05≪ 2017/06 ≫07
123456789101112131415161718192021222324252627282930
-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告 |
2009-07-18 (Sat)
『純粋』という名の、狂気―。



舞台は18世紀のフランス。
産まれながらにして、数十キロ先の匂いも嗅ぎわけられる、類い希なる嗅覚を持った孤児・グルヌイユ。
青年となった彼はある日、その一生を狂わせる『究極の香り』に出会う…。



…何をどう表現したものか…。
五感全てに訴えかけてくるような、じわじわと背中を這い上がってくるような空気感が秀逸な作品。

極めて不気味なんだけれども、アーティスティックな美しさも感じられます。
退廃的な美、と言うのでしょうか?
物凄く生々しいようでもあり、ヴェールに覆われているようなファンタジックさも持ち合わせています。



映像と音声だけで、いかに観客に『匂い』を感じさせるか、というのが非常な難問だったという本作ですが、私としては見事に成功していると思います。
何とも暗く、湿った感じの生々しい映像からは立ち上るような『匂い』を感じられます。
濡れた土、冷たい水、咲き誇る花々、生臭い魚、汚れた布地…そして、露出した白い肌から放出される美しい女達の『匂い』。
グルヌイユが鼻で感じたその匂いを、私たち観客は眼と耳で受け取ることになります。

それは何とも言えず奇妙な感覚ですが、しかし確かに脳は、画面から匂いを感じとっていました。



青年・グルヌイユが辿る物語は悲劇的であり、また喜劇的でもあります。

彼が狂おしい程に愛した『究極の香り』にその運命を翻弄されたように、私たち観客は彼の数奇な人生に翻弄されることとなります。

見終わった直後は何とも暗く、後味の悪い思いをしましたが、少し時間を置くと、切なく、物悲しく、それでいてどこか満たされた気持ちになれます。


言葉や理屈ではなく、五感を駆使して身体で感じる作品。
人によって好みは真っ二つに別れると思います。
が、私としては「観て良かった」と素直に思える映画でした。
子どもには触れさせたくない、濃密でほろ苦い美酒のような大人の為の物語。


監督 トム・ティクヴァ
2006年 ドイツ・フランス・スペイン合作


(2008.10.10 記)

スポンサーサイト
| *Movie* | COM(0) | TB(0) |







管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。