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2009-11-04 (Wed)
バチスタ手術…ブラジル人のランダス・J・V・バチスタ(Randas Jose Vilela Batista)博士により考案された、拡張型心筋症に対する手術術式。学術的な正式名称を『左心室縮小形成術』という。
肥大した心臓の左心室を切り取り小さく作り直す手術。
心臓移植を行うのが難しい患者にとって残された手段、もしくは移植手術待ちの患者にとって非常に有効な手段であるが、手技は難しくリスクは高い。成功率は平均六割。
ちなみに心臓手術の失敗とはすなわち患者の死亡を意味する。

「桜宮市の東城大学医学部付属病院は、フロリダのサザンクロス心臓疾患専門病院から心臓外科の権威、桐生恭一を招聘し、心臓移植の代替医療であるバチスタ手術を専門に行うチーム、『チーム・バチスタ』を結成、『チーム・バチスタの奇跡』と呼ばれる程の驚異の成功を収めていた。

しかし、成功率100%だったチーム・バチスタが、3例立て続けに謎の術中死に遭遇する。医療ミスか、単なる偶然か、それとも故意によるものか。マス・メディアにより世間の注目を集める中、疑念を解明するため、病院長・高階は神経内科の万年講師で、『不定愁訴外来(別名・愚痴外来)』の」責任者・田口に内部調査を命じる。

そこへ、外部からの調査者、厚生労働省の役人『ロジカルモンスター』白鳥がやってくる。」(Wikipediaよりの引用)



第4回『このミステリーがすごい!』大賞作品(である『チーム・バチスタの崩壊』に加筆した作品)。
『田口・白鳥シリーズ』の第一作目にあたり、「このミス」受賞は選考委員の満場一致、しかも選考会開始後数秒で決まったそうです。まさに快挙ですね。

作者の海堂尊さんは現役のお医者様だそうです。
医療分野で通用する理系の頭脳を持ちながら、これだけ練り上げられた素晴らしい作品を執筆できる文系の能力と才能を併せ持つとは…この方の頭の中ってどうなっているんでしょう(苦笑)…もちろんそれは凄まじい努力の賜物とは思いますが。
天は二物を与えるんですよ、極稀にですけどね。海堂さんはその稀な人物の一人なんでしょうね。私のような凡人からしてみれば羨ましいことこの上無しです。

文句無しに、手放しで称賛を贈ることができる作品だと思いました。
とにかく面白い、その一言に尽きます。

たぶん、実際の医療現場に立っている方々からすればいろいろ突っ込みどころはあるだろうと思います。
が、医学知識なんて皆無の私にとってはそんなの関係ねぇ!です(笑)。あくまで「小説」ですから正確な医学知識なんて求めてませんし(だからといって不正確なことを書かれても嫌ですけど)、物語としての範囲内で無理がなければそれでいいんです。
小説に求めるのは「ストーリー」と「キャラクター」。この作品はその二つを完璧に満たしていました。


キャラクター造形が抜群にうまいです。
主人公・田口、白鳥をはじめ、チーム・バチスタのメンバーや病院関係者の脇役に至るまで隙が無く、本当に見事です。
「リアリティがある」というのとは違って、漫画的なキャラクターの肉付けですがそれが無理なく、生き生きと動きまわって面白い。
必要最小限の登場人物を最適な位置に配置する無駄の無さは、海堂さんの理論的な理系思考の賜物でしょうね。だからこそキャラクター一人ひとりにしっかりとした肉付けが可能だったんだと思います。

シリアスな中にもユーモアがあり、必要以上に重苦しいと言うこともなければ軽すぎると言うこともありません。キャラクターの動かし方がうまいんですね。

物語のオチは多少引っかかるものがあると言うかすっきりしない感じはあるのですが、幾重にも張り巡らされた謎の中から現れる真実が必ずしも光り輝く宝玉ではない、ということですよね。
それは現実世界でもそうですし、ミステリー作品全般に言えることであって、この作品でやっとそれに気づけたようです。(どうも私はスパッと割り切れる真実を求めすぎるところがあるようで…)


そして何よりこの物語を通して、現役のお医者様が浮き彫りにした、現代の医療現場が抱える問題の大きさと深刻さを垣間見たような気がします。


映画化・ドラマ化された作品ではありますが、キャラへの思い入れが強すぎて映像作品はどちらも観れそうにありません(笑)
だってどちらも田口先生のイメージじゃ無いんだもん…(-"-)


『田口・白鳥シリーズ』はこの後、
『ナイチンゲールの沈黙』
『ジェネラル・ルージュの凱旋』
『イノセント・ゲリラの祝祭』
と続いていくので、続編も読んでいきたいと思います。


(2009.01.23 記)

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